絵本のなる木

こんにちは。「絵本のなる木」のブログへようこそ✨ このブログは、絵本の紹介ブログです。 当方、二児の父(両方男の子)です。 毎晩寝る前の絵本の読み聞かせが日課なのです。 さまざまな絵本の魅力をこどもたちの反応も織り交ぜながらお伝えしていきます。 お楽しみに🎵

きょうだいが999ひき

999ひきのきょうだいのはるですよ

999ひきのきょうだいのはるですよ

〈初めて読み聞かせした子どもの年齢〉
長男…5才6ヶ月
次男…2才11ヶ月

〈作者紹介〉
木村研さんは児童文学作家でありながら、おもちゃや遊びの研究分野でも活躍されています。絵本では本作を含む「999ひき」シリーズや「だいちゃんとてるてるじいさん」などがあります。
村上康成さんは沢山の絵本を手掛けており、当ブログで紹介させていただいた作家さんですと、「ふねなのね」の中川ひろたかさんとも多くの絵本を出されています。ボローニャ国際児童図書グラフィック賞、日本絵本大賞など受賞作も多いです。
伊豆高原にはなんと「村上康成美術館」があるそうですよ。

〈あらすじ〉
冬眠から覚めるカエルのおかあさんと999ひきのきょうだいたち。数えてみたら、998ひき。おねぼうさんの一番大きなお兄さんカエルはまだ寝てるみたい。おかあさんに「おきなさーい!」と起こされたお兄さんカエルは、今度は自分がみんなを冬眠から起こす番、と亀やトカゲと次々起こして行きます。
でもヘビさんには気をつけて…。

〈読んでみました〉
村上康成さんの絵はキャラクターがかわいいです。顔のわりに体が極端に小さく、独特な描きかたなので、本屋さんなどで見かけると一目で村上さんの絵本はわかります。
アングルにも凝ったところがあり、本作の亀さんとカエルたちで桜を見上げるシーンなどは、カエルたちと一緒に読むほうもうっとりします。

木村研さんの文はやや長いところもありますが、展開がわかりやすく、もうすぐ3才と年長組さんの子ども二人も楽しめる内容でした。

999ひきのきょうだいのお兄ちゃんを筆頭に、他の冬眠中の生き物たちを起こしていく内容となっていますが、一度読んで以降の読み聞かせからは、次に起こされるのは誰か「つぎはトカゲさんだよ」などとこどもたちであてっこをしていました。

亀じいさんやトカゲ、てんとう虫と起こしていくなかで、それぞれの生き物たちとカエルたちが、春の感じ方を共感していくところがいいな、と思います。
桜や、おなかで感じる石の暖かさ、菜の花。
虫や動物ではないけれど、読んでるほうも分かち合えるような感覚があります。なんだか心がほっとしました。

冬眠したばかりなのに、春の心地よさに早速お昼寝してしまうお兄ちゃんにもほのぼのします。春眠暁を覚えず、はカエルさんも一緒なんですね 笑。

〈ここが「木になる」〉
価値観が多様化する中で、みんなが共感できるものって少なくなったような気がします。でも実はすごくシンプルに、季節みたいに身近にあるもので充分共感できるんだよ、とカエルたちがそっと教えてくれているような気がしました。

生き物の種別を超えて、喜びを分かち合える春の訪れ。以前ご紹介させていただいた「はなをくんくん」を思い出しました。

初めての読み聞かせに

がたん ごとん がたん ごとん (福音館 あかちゃんの絵本)

がたん ごとん がたん ごとん (福音館 あかちゃんの絵本)

〈初めて読み聞かせした子どもの年齢〉
長男…0才
次男…0才

〈作者紹介〉
安西水丸さんは作家の村上春樹さんと親交があり、村上春樹さんの作中でちょいちょい登場する「ワタナベノボル」という人物は、実は安西水丸さんのことのようです。(ウィキペディア情報ですf(^_^;) すごいですね。
なので、村上春樹さんの作品「夜のくもざる」などのイラストも手掛けています。

絵本では「バスにのりたかったおばけ」や本作の続編「がたんごとんざぶんざぶん」があります。

〈あらすじ〉
がたんごとんがたんごとんと汽車がはしっています。スプーンやバナナ、ネズミさんたちが「のせてくださーい」と登場し、汽車はどんどん満員に。みんな乗れるかなー?

〈読んでみました〉
本作は、たしか長男が生まれた時に、保健所さんからファーストブックとして頂戴したものと記憶しています。
当時、私はもっと物語性のある絵本を子どもに読み聞かせしたかったので、本作の読み聞かせにはあまり積極的ではなかったのを覚えています。

今思えば、赤ちゃんのことをなんにもわかってなかったなぁ、と恥ずかしくなります。
そんな長いお話読んだって、生まれて数ヶ月の赤ちゃんにはわかるわけないですよね。
0才の頃なら、まだ言葉よりも音とかの方に関心があるようですね。
例えば本作の「がたんごとん」みたいに。

こちらの絵本、文はほぼ「がたんごとん」と「のせてくださーい」のみです。超シンプルですね。私的には「もっといろいろな言葉を知ってほしいなぁ」との思いがあったわけですが、このシンプルさが子どもには大ウケのようで、当時私が選んだ長ったらしい絵本より、だんぜんおもしろそうでした。

当時はなにやら悔しかったのを覚えています 笑。

しかしながら、子どもに何度もせがまれて読み聞かせしていると、だんだんと良さがわかってきました。

まず、(これはさきほども書きましたが)文がほぼ「がたんごとん」と「のせてくださーい」の繰り返しのみ。
→子どもは繰り返しと擬音が大好き。

登場キャラクターがスプーンやバナナ、ねこなど子どもの身近なものばかり。
→0才でもわかりやすい。

色彩がシンプル。
→全て単色で描かれているので見易い。

と、こんな感じで、0才児のハートをつかむ仕組みがいっぱいなことがわかりました。

ファーストブックとして、絵本の世界に親しむことを目的にするなら、「がたんごとんがたんごとん」はまさにうってつけだな、と思いました。

こういった絵本に親しみをもつことで、少しずつ他の絵本にも気が向くようになり、子どもにとっての絵本の世界も広がっていくようです。

年長組の長男が最近ようやく楽しめるようになった絵本を、0才の頃に読み聞かせしていた私ですが (笑)今となっては、そんなに焦ることなかったな、と当時を反省しております。

自分が知らないだけで、赤ちゃん絵本にもいい絵本は沢山ありました! 笑

〈ここが「木になる」〉
子どもは絵本によって、まだ体験したことのない世界を感じたり、これから生きていくための練習をするそうです。
その絵本の世界への入口として、ぜひオススメしたい絵本です。

長男が1才になる前だったと思います。まだ「ママ」ぐらいしか言えなかったころ、おもちゃで遊んでいたら突然「がたんごとんがたんごとん」としゃべり出したことがありました。

あの時の驚きと感動、今となってはただただ懐かしいです。慌ててケータイのムービーで撮りましたが、今やどこに保存されたかわかりません 笑。ザンネン!

たぬきのおもち

〈初めて読み聞かせした子どもの年齢〉
長男…5才6ヶ月
次男…2才11ヶ月

〈作者紹介〉
せなけいこさんは当ブログでは「ばけねこになりたい」につづいて2作目となります。本作のようにたぬきが出てくるお話も多いです。「となりのたぬき」もとてもいいお話なので、オススメです。近々このブログでもご紹介したいと思います。

〈あらすじ〉
たぬきがお腹を空かしていると、うさぎたちが美味しそうなお餅を焼いていました。うさぎがいなくなると、たぬきはしめしめとうさぎたちのお餅をぱくぱく。そこへうさぎたちが戻ってきてしまい、たぬきはお餅に化けてなんとかやり過ごそうとしますが…。

〈読んでみました〉
せなけいこさんの絵本は、ウチの子どもたちのお気に入りのようで、読み聞かせの絵本に選ばれることが多いです。いくつか図書館で借りてきた絵本の中から今回も早速選んでいました。

本作は実は最近の作品で、2018年出版なんですね。せなけいこさんの変わらぬ作風に、安心して読読み聞かせできます。

文は短く、たぬきやうさぎの会話が殆どなので、読みやすいです。展開もわかりやすく、お餅から大入道と、次々にたぬきが化けていく様子もおもしろいですね。
外に出て、うさぎがたぬきを探す場面では、子どもたちも「雪だるまになってるんだよ」と一緒になって探しているようでした。

結局たぬきはお餅をたいして食べられず、「ごめんなさーい」と逃げていくわけですが、最後にうさぎたちが「たぬきもおなかが空いてたんだよ」とやさしい言葉で締めくくられているのが印象に残ります。

盗むことはいけないことだけど、たぬきはたぬきでなんだかかわいそうですよね。
そのあたり、せなけいこさんも絵本のコメント欄で「たぬきはおかあさんがいなくてひとりぼっちかもしれない。それでおなかが空いて悪いことをしたのかもしれない」とも書かれています。

このコメントを読んで、私は絵本の題名が「うさぎのおもち」ではなく「たぬきのおもち」 となっているワケがなんとなくわかったような気がしました。

盗むことは確かに悪いことだけど、そこには必ずなにかしらの理由があって、たぬきの方に思いを馳せることで、見えてくるものがあるのではないか。
そんな思いでつけた題名なのかな、と思いました。(勝手な推察ですが 笑)

〈ここが「木になる」〉
悪いことは悪い。でも、それをただ責めるだけではなく、「たぬきもおなかが空いてたんだよ」と言えるうさぎのように、他者に思いを馳せられる心のゆとりのようなものも大切。
言葉で伝えようとすると難しいけれど、お話にしてやさしく、大切なことを教えてくれる絵本だと思います。

イヤイヤ期に読みたい絵本

こわくない こわくない (とことこえほん)

こわくない こわくない (とことこえほん)


〈初めて読み聞かせした子どもの年齢〉
長男…5才6ヶ月
次男…2才11ヶ月

〈作者紹介〉
内田麟太郎さんは「ともだちや」や「むしむしでんしゃ」など数多くの作品があります。「さかさまライオン」で絵本にっぽん賞を受賞されるなど、受賞作も多いです。私は「ともだちや」シリーズも好きですが、文字数がやや多めなので、もう少し子どもたちが大きくなってからのお楽しみにとっておこうと思っています。
大島妙子さんは「たなかさんちのおひっこし」や「タマミちゃんハーイ」などの作品があります。

〈あらすじ〉
まーくんはなんでも反対のことを言いたがります。おとうさんとお風呂に入って「あったかいねー」と言われても「あったかくなーい」と答えたり。
ある日、夢の中でおばけに「こわいだろう」と驚かされますが、「こわくない、こわくない」と夢の中でも反対のことを言うまーくん。だんだんこわいおばけになってきて…。

〈読んでみました〉
大島妙子さんのキャラクターは、まーくんもおばけもかわいいですね。ふんわりとしたタッチで描かれているので、ほのぼのします。表情も豊かで、おとうさんとおかあさんのまーくんへのやさしいまなざしに、ほっと温かな気持ちになります。

内田麟太郎さんの文は、まーくんとのおとうさんやおかあさん、それにおばけとのやりとりを、単純ながらもやさしく表現してくれています。

おばけにおどかされながらも「こわくない、こわくない」と言い続けるまーくん。この繰り返しのやりとりも楽しいですね。子どもは繰り返しが大好きな上に、おばけがどんどん変化していくので、我が家の子どもたちもどんどん引き込まれていくようでした。

ついにおばけのほうが根負けして大泣きすると、まーくんも今まで我慢していた分もあって大泣きしてしまいます。そこで夢から目が覚めるわけですが、おかあさんに「こわい夢をみたのね」と言われても「こわくなかったよ」と答えるまーくん。さすがです。

最後のページに文はなく、おとうさんとおかあさんに、まーくんが両手でブランコしてもらっている様子が描かれています。おとうさんもおかあさんもニコニコ。まーくんもニコニコ。まーくんの笑い顔は実はこのラストまで、一度もないんですよね。その分読み手のほうに、とても温かな余韻が残ります。
おまけのように裏表紙に描かれている、おばけに乗ったまーくんにもクスリとしてしまいます。このあたりの大島妙子さんの、遊び心みたいなものはステキだなぁと思います 。なんとも読後感がさわやかになります。

〈ここが「木になる」〉
おとうさんとおかあさんの間ですやすや眠るまーくん。こわい夢から覚めた泣き顔のまーくん 。
なんだかたまらなくかわいいです。

まーくんを見ていたら、少し前の次男を思い出しました。イヤイヤ期真っ最中で、何を言ってもイヤイヤ。反対のことばかり言ってきかんぼうな感じの頃。(今も少しイヤイヤは残ってますが 笑)

大変だったけど、寝顔とか泣き顔とか、たまらなくかわいい時もあったな、と。
ちょっと前のことなのに、妙に懐かしさがこあげてきます。

まーくんのパジャマがウチのと似ていることもあるからかもしれません 笑。

イヤイヤ期に出会っておきたかったな、と思う絵本でした。

乳児向け絵本の名作

ふねなのね (First Book Series)

ふねなのね (First Book Series)

〈初めて読み聞かせした子どもの年齢〉
長男…0才後半
次男…0才後半
<作者紹介>
中川ひろたかさんは沢山の絵本作品がありますが、他にも作詞や音楽活動もされ、マルチに活躍されています。「エビカニクス」のケロポンズとも親交があるようで、我が家ではお三方のコンサートに家族で観に行ったことがあります 笑。

100%ORANGEさんはイラストレーターでもあり、漫画家でもあります。及川賢治さんと竹内繭子さんのご夫婦さんのことだったんですね。本作の「なのね」シリーズの他にも「スプーンくん」など中川ひろたかさんとのコンビで沢山の作品を手がけています。

<あらすじ>
男の子が大きな箱を持って登場します。箱に入って「ふねなのね」と言っていると、舞台は川になり、男の子は小さな舟の船長さんのような出で立ちに。いったいどんな航海が待っているのでしょう。

<読んでみました>
我が家では長男次男共に0才の頃から親しまれている名作です。図書館から借りてきて読み聞かせしたのが始まりですが、思いの外おもしろかったので「なのね」シリーズ三部作としてセット購入しました。

なのねシリーズとして、他に「バスなのね」「おうちなのね」がありますが、個人的には本作が一番好きです。

100%ORANGEさんの絵はかわいく、アバウトな色の塗り方が楽しげな感じを醸し出しています。中川ひろたかさんの文に世界観がピッタリですね。
横スクロールの2D的な構図から、ワニくんの救出劇の3D的な奥行きのある構図への変化は見事です。簡単な絵ながらも、物語にぐっと引き込む力を感じました。

中川ひろたかさんの文は、簡単な短い数文字ながらも、わかりやすく展開を伝えてくれます。
ワニくんとの出合いから高波での転覆、ワニくんの救出劇と、ほんの20ページほどの絵本とは思えないボリュームを含んでいます。

まずワニくんとの出合いが素敵です。
ワニとの遭遇に、男の子は「あ、ワニ、かくれよう」と初めは隠れてしまいます。しかし、ワニに見つかって「ぼくもいれて」と言われると、後ろにのけぞりながらも「いいよ」と答えてしまいます。
このあたり、ワニくんもかわいいですし、イヤと言えずに「いいよ」と答える男の子も、保育園などでの子ども同士のやりとりのようでかわいいです。

このあと、ぎゅうぎゅうの舟に乗って「ちょっときついね、でもだいじょうぶ」と二人で言っているのも、なんともほほえましいです。そんなに一緒に遊びたくなかったけど、遊んでみたらまぁ楽しいか、といった感じでしょうか 笑。
この「ちょっときついね、でもだいじょうぶ」は子ども的にも好きな言葉のようで、ウチの子どもたちとの遊びの中でよく出てきました。

次に、仲良くなったワニくんが、舟の転覆で溺れてしまうシーンがあります。(オイオイ、ワニくん泳いで登場してたじゃん)、というツッコミは無しですよ 笑。
ここで男の子が必死になって助けようとします。「ワニくーんワニくーん、つかまって!」と浮き輪をなげるのですが、先ほどまでのほのぼのした展開とは一転、緊迫したシーンで、先ほど紹介した100%ORANGEさんの構図と相まって、引き込まれますね。
その分、助かった時の二人の「あー、たすかったー」の場面には、心底ほっとします。

その後は「ふねなのね」と男の子とワニくんの航海が再開しますが、舟は大きくなり、二人とも立派な船乗りのようです。
「かわなのね」と一気に画面が引きになり、アマゾンの中をうねうねと続く川に、男の子とワニくんの舟が漂っているところで物語は終わります。

この終わり方もいいですよね。この先に一体どんな大冒険が待っているのか、想像力をかきたてられます。

<ここが「木になる」>
これだけの短いお話で、これだけ見所のある絵本も珍しいものだと思います。子どもたちにとっても、飽きがこないようで、我が家では何度読まれたかわかりません 笑。間違いなく、名作でしょう。

ねこねこ絵本

ルッキオとフリフリ おやしきへいく (講談社の創作絵本)

ルッキオとフリフリ おやしきへいく (講談社の創作絵本)

〈初めて読み聞かせした子どもの年齢〉
長男…5才5ヶ月
次男…2才11ヶ月

<作者紹介>
庄野ナホコさんは元々イラストレーターのようですね。2014年「ルッキオとフリフリ おおきなスイカ」で絵本デビューされています。我が家でも「おおきなスイカ」は読み聞かせ済みです。2014年デビューということは、当ブログで紹介させていただいてる作家さんの中ではお若いほうかもしれませんね

<あらすじ>
いつも腹を空かしているルッキオとフリフリ(ねこの名前です)。フリフリが「ネコぼしゅう」のチラシを見つけてきました。チラシには「おやしきでおくさまとくらしませんか ごうかなしょくじつき」と書いてあります。ついにおやしきに「しゅうしょく」できるかも。2匹は喜び勇んでおやしきへいきますが、そこには沢山のねこがいて…。

<読んでみました>
庄野ナホコさんの絵は一言で表現させていただくなら、きれいですね。「一度見たら忘れられない画風」との紹介文が絵本にもありますが、確かに見入ってしまいます。
よく見ると描き込みも多く、絵の隅々まで見るとおもしろい発見があります。

最初のルッキオとフリフリの部屋。床板を押しのけて雑草が生えてきてたり、テーブルの脚は継ぎ足し、カーテンやソファもツギハギと、2匹の貧しい生活ぶりが窺えますね。その貧しさがなぜかほほえましいのも、庄野ナホコさんの絵の不思議な魅力のひとつかもしれません。

ねこも沢山登場し、後半はねこのコスプレ(!?)も楽しめるので、ねこ好きにはたまらないでしょうね 笑。ねこたちの服のセンスも改めてみるとおもしろくもかわいくもあります。

文は長くなく、ルッキオとフリフリの「兄貴と舎弟」な会話がおもしろいらしく、子どもたちにも受けていました。

おやしきの「しつじ」をルッキオたちが「ひつじ?」と聞き間違える下りでは、こどもたちも同じように「ひつじ!?」と聞き間違えていました 笑。キミたちはねこと同レベルなのね、とこちらも笑ってしまいました。執事って、なかなか日頃出会いませんから仕方ないですよね 笑。

そういう意味では、ルッキオとフリフリは子どもと同じ目線や近い立場の存在として書かれ、こどもにも感情移入しやすいような気がします。

おくさまの前でモジモジして、いよいよ怖くなったら手が(ここでは爪が 笑)出てしまったり。このあたりも子どもに通じる所がありそうですよね。

そのあとのおやしきから2匹が逃げる絵がとてもきれいです。夜の月明かりに照らされて走る2匹。奥のほうでは海が月の光にまたたいています。きれいですが、小さい2匹の存在との対比で、なんとも切なくも感じられます。こんな広い美しい世界で、小さな2匹ががむしゃらに走り逃げている。なんともいえない余韻が残る絵ですね。

ラストは「おおきなスイカ」でもそうですが、ルッキオとフリフリがしたたかにもご馳走にありつき、駄洒落でしめくくられます。
2匹の転んでもただでは起きない、このしぶとさとしたたかさ。妙にほのぼのしますね。実はおくさまに気に入られていた、とのオチにもクスッとしてしまいますね 笑。

<ここが「木になる」>
ラストのページでおくさまの前でお魚をおいしそうに食べるねこ。今回の募集で「採用」となったねこでしょうか。このねこ、よく見返すと、ほかのページにもちょくちょく描かれています。かなり自由奔放な感じで描かれていますが、なぜおくさまの「採用」になったのか、考えながら探してみるのもおもしろいかもしれないですね 笑。

ジブリのような世界観

おつきみ (季節のおはなし絵本)

おつきみ (季節のおはなし絵本)

〈初めて読み聞かせした子どもの年齢〉
長男…5才5ヶ月
次男…2才11ヶ月

<作者紹介>
あまんきみこさんは「ちいちゃんのかげおくり」が有名ですね。私が小学生の頃は国語の本にも載っていました。同作で小学館文学賞を受賞されています。当ブログでは「だんだん山のそりすべり」を取り上げさせていただいています。

黒井健さんは「ごんぎつね」や「てぶくろを買いに」の挿し絵でも広く知られています。

あまんきみこさんと黒井健さんのコンビで「なかないで なかないで」などの絵本があります。

<あらすじ>
十五夜のお月見を楽しみにしているえっちゃんとねこのミュウ。もくもくと大きな「でかぐもさん」に阻まれて月が見えなくなってしまいます。えっちゃんはミュウとおもちゃのはこでんしゃに乗って、空高く飛び上がり「でかぐもさん」とお話にいきますが…。

<読んでみました>
黒井健さんの登場人物はみんなかわいく、風景描写もきれいですね。ねこのミュウはころころと丸く、抱っこしたくなります 笑。後半に出てくる風の妖精「かぜっこ」がコスモスの花を揺らす様も鮮やかで、いつまでも見ていたくなります。

あまんきみこさんの文はやさしく、読んでいて心地よいです。「だんだん山のそりすべり」でもそうでしたが、登場人物たちに寄り添うような文体に心が温まります。当ブログで取り上げさせていただいた方ですと、せなけいこさんと通じるものがありますね。

おもちゃのはこでんしゃで、女の子と子猫が空高く飛び上がり、雲に「のいてよう」呼び掛ける。風の妖精「かぜっこ」たちの力が必要とわかり、ひとっとびでかぜっこたちを呼びに行く。

空飛ぶ猫と女の子に風の妖精。ちょっとジブリを彷彿とさせますね。ファンタジーだなぁ、と。短いながらも冒険的な要素もあり、もう少し長いお話でも楽しめそうです。

ウチの食いしん坊なこどもたちは、お団子が気に入ったようで、お団子の数をよく数えていました 笑。手作りのお団子、本当においしそうに描かれています。十五夜を前に、こどもたちとお団子づくりをやるのも楽しそうだな、と思いました。いつするかは不明ですが…笑。

<ここが「木になる」>
猫のミュウやでかぐもさんにかぜっこたち。動物や雲や妖精たち、みんなとえっちゃんは会話していますよね。会話によって、いろんなものの力を借りて物事を解決していきます。

それってこどもたちにとって、すごく大切なことを教えてくれていると思います。

どんなものにも命や魂みたいなものがあって、かけがえのないものたちの中で、私たちが生きているということ。自分もその中の一部であること。そして、同じ立場でなくとも、対話によって協力できること。

ただのファンタジー絵本でない、深みのある絵本だなぁ、とじわじわとした感動が湧いてくるお話です。
2016年出版となっていますが、「ちいちゃんのかげおくり」からは、30年以上経っていると思います。時代が変わってもこういった良質な作品を作り続けるあまんきみこさん、黒井健さんには、こどもを持つ親にとっては感謝しかありませんね。
「おつきみ」を子どもと読める幸せ。ありがとうございます!