絵本のなる木

2児(両方男の子)の父が、毎晩の絵本読み聞かせを通して、おすすめ絵本を紹介していきます♪お楽しみに☆

実は世界の名作でした。

かばくん (こどものとも絵本)

かばくん (こどものとも絵本)

〈初めて読み聞かせした子どもの年齢〉
長男…2才ごろ
次男…2才11ヶ月

〈作者紹介〉
岸田衿子さんは、絵を担当されている中谷千代子さんとは親友だそうで、他にもお二人で「かばくんのふね」などを輩出されています。女優の岸田今日子さんは妹さんだったんですね。ちょっとびっくりしました。
中谷千代子さんは 「ジオジオのかんむり」でデビューされ、本作で小学館絵画賞を受賞されています。

〈あらすじ〉
動物園の朝、男の子とかめくんが、かばくんを起こしに行くところから始まります。
「や、かばくん」「や、かめくん」とかめくんとかばくんは水の中でご挨拶。
日曜日の動物園はお客さんがいっぱいです。かばくんが「どら、ちょっとみてこよう」とお客さんに近寄ると、お客さんは大にぎわい。かばくんは男の子の持ってきたキャベツもぺろりとたいらげます。
やがて動物園に夜がやってきます。

〈読んでみました〉
中谷千代子さんの絵は、淡い色使いがしっとりとして感じがいいですね。詩的な岸田衿子さんの文とのバランスが絶妙だと思います。素朴ながらも、かばくんには迫力を持たせ、子どももかばくんがキャベツを食べるシーンなど楽しんでいました。

岸田衿子さんの文は、どこか歌詞のような詩的な雰囲気をまとっています。さして大きな出来事のないお話ではありますが、「おやすみ、かばくん」と
動物園に夜が来て絵本が終わると、不思議と静かな落ち着いた気持ちになります。

私は水中の場面と夜の動物園の色合いが似ていたので、最後は動物園全体が水の中にとっぷりと浸かっているような錯覚をおぼえました。
それがこちらの絵本のしっとりとした余韻につながっているのかもしれません。

文の全部が話し言葉なのに、かぎかっこ「」が付いていないのもおもしろいですね。

かぎかっこがなく、「と言いました」みたいな文もないので、登場人物たちの言葉が淡く、心の中の声のような気もします。言葉が強調されない分、人と動物たちの言葉の壁みたいなものが取り除かれ、かばくんたちや男の子たちの気持ちがよく表現されていると思いました。

男の子の「つまらないからおきてくれ」や「たべてくれ」の言葉は、ちょっと不器用な少年の感じが
懐かしいですね。「となりのトトロ」のカンタ少年のような 笑。「こっそりゆめみてねむってくれ」とぶっきらぼうながらもやさしさあふれるラストの言葉も、あとからじわじわときます。

かばくんがかめくんとの会話遊びをしたり、お客さんを逆に観察しているのもおもしろいですね。動物園の動物たちも、案外人間を見て楽しんでるのかもしれませんね。

派手さはないですが、スマホなど、何かとさわがしいものに囲まれがちな現代で、こういった静かでゆっくりとした世界に親しむのもいいんじゃないかな、と思いました。もちろん子どもにとってですが、大人にも、オススメです f(^_^;

〈ここが「木になる」〉
1962年に発表され、フランスやドイツなど、海外でも出版され、好評だったようです。
日本から世界の人と分かち合える名作が、実は半世紀以上前にあったということに驚きました。

ちなみに「かばくん」の英題、調べてみました。
「wake-up,hippo!」
「おきてくれ、かばくん」
作中の男の子のかばくんへの最初の呼び掛けでしたね。

あのぶっきらぼうな呼び掛けが題名になったんだ、と思うと、なにやらおかしさと温かいものがこみ上げてきました。海外の方も、ずいぶん粋な題名をつけるもんだな、と。あの男の子に教えてあげたいくらいです 笑。