絵本のなる木

2児(両方男の子)の父が、毎晩の絵本読み聞かせを通して、おすすめ絵本を紹介していきます♪お楽しみに☆

あやしげな三人ぐみは一人の少女と出会い「すてきな三人ぐみ」になりました

表紙のデザイン(あやしげな三人組)と題名(すてきな三にんぐみ)のギャップが目を引く本作。

昔から気になってはいましたが、なんとなく手に取らずに終わっていました。

図書館で次男がたまたま手に取り(子どもも気になるんですね)、ついに読むことになりました。

すてきな三にんぐみ

すてきな三にんぐみ

初めて読み聞かせした子どもの年齢

長男…5才7ヶ月
次男…3才1ヶ月

作者紹介

トミー・アンゲラーさんはフランスの画家であり、絵本作家であり、漫画家でもあり、多彩な顔を持っています。国際アンデルセン賞画家賞を受賞されています。他に「あおいくも」や「こうもりのルーファスくん」などの作品があります。

訳者の今江祥智さんは児童文学の作家さんでもあり、数々の著作を世に出されています。「山のむこうは青い海だった」や、娘さんとの暮らしを書いた「やさしさごっこ」などがあります。
「やさしさごっこ」はNHKでドラマ化されました。
巻末の愛溢れる、トミー・アンゲラーさんの紹介文は必読です。

あらすじ

昔、世にも恐ろしい三人組の強盗がいました。
三人の道具は…

こしょうふき
ラッパ銃
おおまさかり

三人組の隠れ家には、これまで盗った金銀宝石がざくざく。
ある夜、三人組が襲った馬車には一人のみなしごの少女が乗っていて…。

読んでみました

どう見てもあやしげな三人組だけど、題名は「すてきな三人ぐみ」。
ははぁ、よくある「悪いやつが実はいいやつだった」パターンのお話だな、と勝手に勘ぐってました。

結論、実際そのような流れになりますが、お話が実にユニークで、三人ぐみの成し遂げたことの規模が大きいです。

序盤、三人組の恐ろしさが描かれていますが、恐ろしさを大げさに、少し滑稽にも描いているので、おもしろいです。

人を脅す時の「ラッパ銃」なんて、ラッパの音がなるだけのおもちゃの銃でしょ 笑

などとクスクスしていたら、ネットで調べてビックリ!?

ラッパ銃って、ちゃんとした銃だったんですね(・・;)
命中精度は低いとの事ですが、レッキとした銃でした。

あら、急に三人ぐみがホンモノに見えてきた(×_×)
実は怖い人たちだったんですね。(今さら 笑)

でも、こしょう吹き付けて馬車を止めるあたりは…やっぱりほほえましく読んでしまいます 笑。

さて、そんな三人ぐみは、ある「すみを流したような夜」(今江祥智さんの訳が光ります)に、襲った馬車で、一人の少女に出会います。

名前は「ティファニーちゃん」

みなし児、孤児です。

他に盗る物もないので、三人ぐみはティファニーちゃんを大事に抱き抱えて隠れ家に帰ることにします。

隠れ家でふかふかのベッドに眠るティファニーちゃん。

この下り、愉快です 笑。
あんなに恐ろしい三人ぐみも、子どもには免疫がないようです。「ふかふかのベッド」というあたりが、あらやさしいのね、と読み手と三人ぐみの距離を一気に近づけます。

あくる朝、ティファニーちゃんは金銀宝石を見つけて、三人ぐみに尋ねます。

「これ、どうするの?」

三人ぐみは、虚を突かれて、なにも答えられずに三人で相談します。

なぜって、金銀宝石を集めても、何をするかは考えてなかったからです。

思わず、「考えてなかったんかい?!」とツッコミを入れてしまいそうになりますf(^_^;

が、三人ぐみの、このどこか抜けてる感じも、どこか楽しいですよね。

ティファニーちゃんのリアクションは書かれていませんが、きっと笑ってしまったんじゃないかなぁと想像します。
そして、この黒ずくめの三人ぐみも、少女の笑いに、一緒に吹き出してしまったのかもしれません。

それは、想像するに、三人ぐみにとってもこれまで経験した事のない、温かな時間だったのではないでしょうか。

勝手な想像ですが、それが、後半の意表をつく展開である、三人ぐみの「孤児救済」につながったのではないかな、とおもいます。

ティファニーちゃん、登場シーンは実は3ページほどですが、さんにんぐみにとっては生き方を変えるほどの大きな存在だったんですね。

三人組がどんどん引き取ったみなし児たちは、やがて互いに結ばれて子どもを生み、広がり、一つの村のようになります。

時は流れ、三人ぐみはこの世の人ではなくなっても、村には三人ぐみへの感謝の証のように、

「みんなの すてきな さんにんぐみをわすれないため」

三人ぐみの帽子そっくりの塔を3つ建て、そびえてるシーンで終わります。

ここで初めて題名の「すてきなさんにんぐみ」という言葉がでてきます。

ああ、確かにすてきなさんにんぐみだなぁ、なんて私なんかはしんみりしてしまいます(;_;)

そして、物語の締めくくりの言葉。

ほら ごらん 。
まるで さんにんに そっくりだ。

いや〜、これ、初めて読んだ時はそうでもなかったんですけど、改めて読み返すと、じんわりとこみ上げてくるものがある文ですね。

原作も素晴らしいのでしょうけど、今江祥智さんの訳も、随所にいい味を出していると思います。

恐ろしい三人ぐみのシーンから始まりますが、全体を通して、温かい雰囲気に覆われているのは、今江祥智さんと訳の力もあるのだろうと思いました。

それは、訳者の原作者へのリスペクトあってこそと思います。
巻末に、今江祥智さんによるアンゲラーさんの紹介文にその思いは込められておりますので、この絵本を読まれた方は、是非ご一読されることをオススメします。

ちなみに、こちらの絵本、原題は「THE THREE ROBBERS」。三人組の強盗、ですね。

この原題を「すてきな三人ぐみ」と日本語に訳される訳者のセンス。簡単そうで、なかなかできることじゃないです。
今江祥智さんが訳者で、本当に良かったと思いました。

こどもたちもなにやらお気に入りのようで、ここのところ、毎晩読み聞かせ絵本に選んでいます。

木になるところ

アンゲラーさんは、この絵本を娘のフィージィーちゃんに捧げたそうです。

私はなんとなく、ティファニーちゃんのモデルはフィージィーちゃんだったのかな、と感じました。

「これ、どうするの?」

三人ぐみが孤児救済に動きだすきっかけとなった言葉です。

子どもって、時折大人をはっとさせるような、核心をつく一言を発する時がありますよね。

アンゲラーさんも、フィージィーちゃんとの関わりのなかで、そんな体験をしたのかもしれません。

そういった言葉を、大切に心にとどめておく意味でもある作品なのかな、と思いました。